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島のキャンプはサバイバルゲーム

U.S. バージンアイランド国立公園, アメリカ領バージン諸島
Virgin Islands National Park、US Virgin Islands


Virgin IS

 

バージンアイランドへの旅はケチケチ旅行で行こうと決めたのがまちがいだった。バージン諸島の表玄関、セント・トーマス島まではデルタ航空のマイレージの無料チケットを使い、キャンプしてホテル代を節約、食事は自分でクックする……。ガイドブックには世界の5本の指に入る、美しい白砂の海岸線の写真が載っていた。「こんなところでキャンプしたらどんなに楽しいだろう!」 行く前から期待に胸はずませたのだったが、その夢の島バージンアイランドでのキャンプはそんなに甘くはなかった。

 


蚊の襲撃:
「こんなはずじゃなかった」と後悔してもすでに遅かった。真っ白
い砂浜に打ち寄せる波、風はそよそよと頬をなでハンモックに揺られながら午後のまどろみ……。思い描いていたイメージがことごとく壊れたのは、セント・ジョン島シナモンベイのキャンプ地に着いてからだった。 もちろんシナモンベイは写真で見たとおり真っ白い砂浜が続く美しい海岸だったが、来た時期が悪かった。島の夏は雨期で毎日が雨だった。キャンプ場は低い潅木が厚く生えそろった薮の中にあったのだが、この潅木がとにかくクセモノだった。灌木がかべとなり、中は昼でも薄暗く、海からの風はさえぎられて届かないのだ。とにかくキャンプ地にテントを張ったが、薮の中はすごい湿度で、全身から汗が噴き出してきた。そしてその汗が乾かない。夜になったらどうなるのだろうかと不安になったが、案の定、夕方になると招かれざる客の訪問が始まった。蚊である。汗でぬれた裸の体に待ってましたとばかりに蚊の大群がまとわりついたのだった。 

 Virgin IS

 
アメリカ領バージン諸島は、首都シャーロット・アマリーのあるセント・トーマス、それにセント・クロイ、セント・ジョンの3島を中心に、50あまりの小さな無人島からなっている。1493年、コロンバスが2回目の航海で発見してから、デンマークなどの植民地時代を得て、1917年、第一次大戦中にアメリカがデンマークから2500万ドルで買い取った。パナマ運河からのドイツ軍の侵攻を阻止するためだった。古くからの貿易港で現在、政治・経済の中心地セント・トーマスには豪華なクルーズ船が寄港し、シャーロット・アマリーのダウンタウンの免税店は世界中の買い物客でいつもごった返している。 

 

Virgin IS  Virgin IS

不甲斐ない自分:
3島の中で一番小さな島がセント・ジョンだ。人口5000人ほどのこの島には美しい自然以外は何もない。1700年代から、デンマーク人が奴隷を連れてきてサトウキビのプランテーションを始めたが、その朽ちかけたアナバーグ製糖所の跡は、今は観光地として丘の上に残っている。セント・ジョンが他と違っているのは、島全体の3分の2が国立公園で、海の中までが海底公園に指定されていることだ。白砂糖みたいなさらさらとした砂浜と同じく、海中は色とりどりの熱帯魚と美しいさんご礁の楽園だった。 さて夜になると何百、何千というツリーフロッグ(蛙)の合唱が木々の中から始まった。海からの風は夕凪と共にぴたりと止んで、しかも夕方のスコールでテントの中以外はどこもびしょびしょだ。ボクはありったけの蚊取り線香に火をつけてその中心部に座り、蚊の襲撃に備えた。まるでどこかの修行僧がお香を焚いて、その中で瞑想でもしているような風情だ。ランタンの明かりは虫たちの標的になるので、高い木の枝に吊り下げてテントから離した。ホテル代をケチったおかげでとんでもない代償を払わされることになろうとは?それにしてもイージーな文明生活になれ切った自分のふがいなさを思い知らされた。ほとんど眠れなかった第一夜は、鳥たちのさえずりで朝を迎えた。潅木のトンネルを抜けるとすぐに白い砂浜に出る。やっと沸かしたコーヒーを手に誰もいない朝の砂浜を歩くと、ようやく心が落ち着いてきた。

 

Virgin IS


最後の晩餐:
セント・ジョンにはダイブショップが2軒のある。クルーズベイの船着場のすぐ近くにある「Low Key」(1-800-835-7718)は、毎朝7時半から2時間のツアーがあり、飛び込み参加もできる。さすが、海中国立公園に指定されているだけあり、海は美しかった。昼間は海に潜り、夜はまた蚊の襲撃に悩まされるそんな4日をなんとか過ごした。最後の夜は、ビーチの流木を集めて火を焚き、早めの夕食の準備に取り掛かった。そして最後の夜に食べようと大切にしていた肉を自家製のかまどであぶり、島のラム酒をチビチビと飲む。すぐに心地よさが体中を走り抜け、肉が焼ける前にいい気分になってしまい。岩陰からマングースがのぞいていることに気がつかなかった。ふと目を離した瞬間、皿の上の焼きたてのステーキはこのすばしこい小僧にかっさらわれてしまった。 始めから終わりまでついていなかったこの旅、それでも最後の夕食を奪われた自分の間抜けさを呪う前に、なんだか愉快になった。このマングースはスキあればと岩陰からずーっとこの肉を狙っていたのだ。これこそ本当のサバイバルゲーム。
暗くなると、「待ってました」とばかりに、また蛙の大合唱が始まった。打ち寄せる波の音がその合唱を盛り上げる。4泊のテント生活を終えて、シャーロット・アマリーのホテルにチェックインするや、取るものも取らず熱いシャワーをむさぼるように浴びた。カラダ中が虫に刺されて無残な姿になっていたが、心の中はなぜか満足感でいっぱいだった。雨が降るのも、蚊や虫がいるのも自然の姿。文明の有難さに慣れきってしまい、それに対応できないヤワな自分を発見した、ちょっぴりほろ苦いケチケチ旅行だった。
 

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バージンアイランド国立公園:
1300 Cruz Bay Creek St. John, VI 00830 T: 340-776-6201 www.nps.gov/viis
 
■行き方: アメリカ本土からは各航空会社がセント・トーマス島まで定期便を出している。セント・トーマス島の首都シャーロット・アマリ−のダウンタウンとレッドフックの2か所から、セント・ジョンのクルーズベイまでは、昼間は約1時間ごとにフェリーが出ている。セント・ジョンは島の北中央を周回道が走っていて、約3時間(15マイル)で島を一周できる。フェリー発着のクルーズベイにはレンタカー(ほとんどが4輪駆動のジープ)やサファリーと呼ばれる乗合タクシーが待機しているので、自分のスケジュールで選ぶ。道路は狭くて急坂なので運転には注意が必要。 ■宿泊施設:高級リゾートからB&Bまであるが、シーズン中(12月~4月)は予約が絶対必要。キャンプ場はシナモンベイとマホベイの2か所にあるが、高温多湿で虫が多いので特に夏場は勧められない。


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カズさん

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全米の国立公園全58カ所を踏破したカメラマンが、60歳を機にアメリカ探険に再挑戦。観光では行けない、大自然と野生動物たちとの出会い。そして故郷日本へ帰り日本の野生動物、心の風景そして祭りに感動、28年ぶりの「日本再発見」を紹介します。それぞれの作品はデジブックのスライドショーで楽しめます。



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