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厳冬のイエローストーン、パート2

厳冬のイエローストーン国立公園 パート2
オオカミを追いかけて


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                    雪の朝、灰色オオカミ


3日間滞在したオールドフェイスフルを出て雪上車でまたウエスト・イエローストーンへ帰って来た。そしてそのまま山越えでボーズマンへ出てイエローストーンの公園内で唯一車で乗り入れられるノース・エントランスへと向うことにした。
ウエスト・イエローストーンのモーテルに泊めていたレンタカーは雪ですっぽりと埋まっていたが、4輪駆動車のおかげで難なく脱出できた。
ここからボーズマンまでは富士山とほぼ同じ高さのギャラチン山脈を越えなければならない。だんだん高度が上がるにつれ雪が激しくなったが、しかし無事峠を超えると途端に雪はやみ見晴らしが良くなった。


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             一面白い世界オオカミたちの住処ラマー谷


ボーズマンからはハイウエー90号線を東へ、リビングストンで89号線に入りゲートシティのガーディナーまでは薄日も差して快適なドライブになった。
公園内のマンモス・ホットスプリングスには立派なホテルもあるが、ボクが常宿にしているのは公園のすぐ外、ガーディナーにある小さなモーテルである。もう何度も泊まっているのですっかり顔見知りになった宿の親父はいつもの部屋、 車をドアの前に止められる一階をキープしていてくれていた。
車で旅行する時は大抵この “Bumper to Door” の車を部屋の前に止められる便利な安宿に泊まることにしている。


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             マイナス20度の夜明けブラックテール高原


この北イエロースト-ンのゲートシティ、ガーディナーは夏場は観光客で込み合うが冬場のこの時期はひっそりと沈みかえっていた。
夏に来たとき通ったバッファローの肉で作ったハンバーガーを食わせる小さなレストランには“for sell”の看板がかかっていた。細々とやっていたビジネスもついにやっていけなくなったのだろう。人間って無い物ねだりで、食べられないと分かったらあのボリュームのあるバッファローのハンバーガーが猛烈に食べたくなった。


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                  雄のエルク


ところでこんな寒い真冬になんでこんな北イエローストーンになどへ来るのか説明する必要がある。
それはこの公園内で唯一北入り口のマンモス・ホットスプリングスから北東入り口のクック・シティに抜ける約80キロの道路は冬場もオープンしていて、しかもこの道路沿いにあるブラックテール高原やラマー谷はオオカミのテリトリーになっているのである。


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              雄のラム(ビッグホーン・シープ)

イエローストーンのオオカミは人間の虐殺で一度絶滅したが、1995年にカナダから連れてこられた灰色オオカミ14頭が放され現在は250頭以上に増えたといわれる。 一度絶滅から復活したオオカミたちの人気は抜群だ。そのミステリアスな野生の生き物を一目見ようと、 世界中からオオカミファンが集まってくる。
特に雪で動物たちの動きが鈍い冬場は オオカミたちに遭遇するチャンスも多くなる。 
映画やTVでしか見たことがなかった自然の摂理、弱肉強食の世界を実際に自分の眼で見れたら、こんな素晴らしいことはない。


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                雪の鎧をまとったバイソンの群れ


翌日また雪になった。
凍り付いたフロントガラスの氷を剥がしまだ暗い中モーテルを出てオオカミたちのいるラマー谷へと向かった。
公園のエントランスでレンジャーは「今日は谷へ行くのは勧めないよ。ブリザードになる予報で危険だよ」。
でもボクはこのトヨタの4輪駆動を信用してレンジャーの言葉を振り切った。
イエローストーン川に流れ出るマンモス・ホットスプリングスの温泉の湯気が高く上がっていた。夏場はこの川で温泉を楽しむ人たちの歓声が聞こえるがマイナス20度近いこの寒さは全てを凍えつかせもう一つの自然の厳しい顔を見せていた。


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                   吹雪の朝                


途中ブラック・ティ-ル高原で夜が明けた。もうこのあたりからオオカミたちの縄張りだ。真っ白い世界は方向感覚を狂わせる。目印は道路の両脇に立てられた目印のポールだけだ。
この吹雪の中で体中に雪の鎧をまとったようなバイソンの群れがのろのろと動いている。
ラマー谷まできたがオオカミたちの姿は見えなかった。この雪では小さな動物は歩けないのだろう。

その時前方から車が来た。ボクは親切心を出して道路ぎりぎりまで車を寄せて相手に道を譲ろうとしたが、その直後にコントロールできない嫌な感覚が襲って来た。ズルズルーッと車の右半分が路肩を外れて雪の中に埋もれてしまった。 
絶体絶命!4輪駆動でもこの雪の中からの脱出は不可能だった。
こんな不安な気持ちはない。でも焦っても仕方がないのでじっつと我慢して他の車かパーク・レンジャーのパトロールが来るのを待った。


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              油断した車がまた雪に足を取られていた

果たして幸運の女神はすぐにやって来た。
クック・シティまで行くという小さなスバルの4輪駆動車の家族ずれだった。若い夫はすぐにショベルとロープを取り出し、てきぱきと埋った車を引き上げてくれた。
ボクは平身低頭、この気さくなモンタナの男に感謝した。
「いいんだよ気にしなくても、オレだって何度かやったことがあるんだ」男は立ち去ろうとしたがボクは20ドル札を数枚男のポケットに押し込んだ。
「少しだけど町についたらコーヒーでも飲んで暖まってよ」
この日は一日中気分が良かった。こんな純粋な親切が嬉しかった。


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               ”弱肉強食” バイソンの骨はやがて土に帰る  


しばらく休んでいると吹雪も通り過ぎた。
数日前にオオカミが倒したバイソンの死体はいまでは骨と皮だけになり、それでも腹を空かしたコヨーテが肉片を探してあまり報われない努力をしている。そのまわりではカラスたちが横取りしようと隙をうかがっていた。一番強いオオカミが倒したバイソンの肉は弱い動物たちにも順に与えられ、やがてこの骨は土に帰って行く。ここには自然の摂理に従いながら繰り広げられる野生の姿があった。



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カズさん

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全米の国立公園全58カ所を踏破したカメラマンが、60歳を機にアメリカ探険に再挑戦。観光では行けない、大自然と野生動物たちとの出会い。そして故郷日本へ帰り日本の野生動物、心の風景そして祭りに感動、28年ぶりの「日本再発見」を紹介します。それぞれの作品はデジブックのスライドショーで楽しめます。



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