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孤高の植物、銀剣草

ハワイ州、ハレアカラ国立公園, Haleakala NP, Hawaii

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ハワイを代表するイメージは、ワイキキの浜辺とフラダンス。少年の頃のボクにとってハワイは、芸能人が結婚式を挙げる金持ちの別天地で、ゆめゆめ自分が行けるとは想像もつかなかった。そんなハワイに行ったのは、成人して渡米後、ゴルフトーナメントの取材でホノルルを訪れた時。写真で見ていたワイキキの海岸は確かに美しく魅力的だったが、それ以上の感動はなかった。日本と同じような店を渡り歩く日本人観光客たち。「何か違うな?」と、違和感を感じたのが初めてのハワイだった。それから何年か後、今度は国立公園の写真を撮る目的で、自分のハワイを探すために再度訪れた。そして二度目のハワイは、忘れられない優しい思い出をボクに作ってくれた。

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電話の向こうの声は:  ガイドブックでハワイの民宿を探していた時のこと。マウイ島のハナにある「アロハコテージ」に電話をかけると、優しい声の女性が出た。ボクはとっさに日本人だと思い日本語で話すと、相手はあまりうまくはない日本語で応えてくれた。ナカムラ・フサエさんという人だった。さっそく宿泊を予約して少し世間話をした。日系3世の彼女はハナで生まれ、同じく日系3世の御主人ゼンゾーさんと民宿を営んでいるとのことだった。  
マウイにはキヘイとかハイク、それにハナといった日本語に似た地名があり、日本人のボクには何となく郷愁を感じさせるものがある。ハナはマウイ島の東側、ハレアカラ火山の溶岩が海に向かって流れたそのすそ野にある。カフルイ空港から東へ53マイルほどだが、道は海岸線の崖を切り開いた曲がり道で、溶岩の上を走るために56カ所あるという小さな橋は車1台通るのがやっとだ。誰が数えたか617カ所の曲がり角は、便利な都会のハイウエイから、昔から変わらないこの小さな村へ入るための関所みたいに思われた。車を飛ばすことを諦めた途端、美しい滝や熱帯雨林の植物が心を和ませてくれた。


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カフルイのスーパーマーケットで買った煎餅を土産に、フサエさんに会うと、ゼンゾーさんまで出て来て大喜びで迎えてくれた。袋の表に印刷された「塩味」と「しょうゆ味」の平仮名だけが彼女の読める日本語だったが、ボクはこの年老いた夫婦に会って故郷の家に帰ったような気分になった。夫婦には40歳になるキースという腕利きの漁師の息子がいる。キースは地元の中国系ハワイアンと結婚し、3人の子供たちの父親だ。子供たちは祖父母の影響か皆礼儀正しく素朴で、抱き締めたいほどかわいらしかった。  
ハナには昔砂糖工場があり、大勢の日本人が移住して来たが、工場が閉鎖された1900年代はじめ以降、その多くがハナを去り、現在は6家族が残っているだけだった。当時の日本村の面影を残す村の中心部に、映画館を改装したハセガワゼネラルストアー(長谷川雑貨店)があった。この店は1910年、長谷川ショーイチ、サブローの兄弟が始めたもので、彼らは砂糖工場での労働契約が終わると、貯めた金を元手にこの雑貨商を始めたという。現在は4代目のニールが店を切り盛りしていた。ニールの父親はハワイの女性と結婚し、ニールはフィリピンの女性と結婚して長男ブランドンが生まれた。ここではさまざまなルーツを持った人々が、互いに支え合い、家族を作り、そしてたくましく生き続けている。

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ヒマラヤとハレアカラの共通点:  
ハナの町は、手前のハナ湾を包み込むように段々畑状になっている。連なる丘では牛が草を食み、オンドリの泣き声で夜が明ける。子供たちは素足で飛び回っていた。ほとんどのハワイの村が開発されて高級リゾート地に変わって行く中で、ハナは現代的な喧騒を拒み続け、ハレアカラ火山に抱かれ、人と自然が美しく調和しながら生き続けている。ハレアカラ火山は1790年の噴火を最後に、現在は休火山となっている。ビジターズセンターは2か所あり、山に登るハレアカラ・ハイウエイからクレーターロードにかけての8合目と、ハナから16キロ西に行ったキパフル(Kipahulu)にある。ハレアカラとは「太陽の家」を意味し、朝太陽がカルデラ(火山活動でできた大きな凹地)を照らし出す日の出と、夕日が雲海に沈んでいくひとときは、神々しいまでの美しさで、誰もが荘厳な気分にさせられる。山頂までのドライブは快適だ。わずか65キロ、海抜0メートルから3000メートルまでの道を2時間足らずで駆け上がることができる。そして山頂から見る荒涼たるクレーターの雄大さに誰もが圧倒される。

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ボクはこの山頂に自生する非常に珍しい高山植物、銀剣草(Silver Sword)の写真を撮るためにクレーターを歩いて山頂まで登った。高山のために一歩登るごとに心臓がフル回転で空気を送り込み、激しく息をしなければならない。ここでは急ぎは禁物だ。やがて日が暮れようという時、頂上に、雄々しく立ちそびえる一本の銀剣草を見つけた。剣のように鋭い銀の葉の根元から2メートル余りの茎が伸び、小さなヒマワリみたいな紫色の花をいっぱい咲かせていた。なぜこんなところに? その姿は夕日に染まりますます神秘的であった。20年に一度しか花をつけないといわれる銀剣草は、ヒマラヤと、このハレアカラ山だけに自生し、芽が出てから成長するまで4~5年もかかり、そして花が咲き終わると枯れてしまうという。自分が生きられる短い時を誇示するかごとく、見事な花を咲かせるその姿に心を打たれた。孤高の銀剣草の哀れさと強さが分かるような気がした。

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ハレアカラ国立公園
■ ビジターズ・センター(www.nps.gov/hale、808-572-4400)
■ 行き方:マウイ島カフルイ空港から37号線のハレアカラ・ハイウェイに入り、そこからクレーターロード(378号線)で山頂まで登れる。山頂は空気が薄く寒いので行動に気を付ける。ハナまではカフルイ空港から東回りの36号線から360号線に入り53マイル。道は狭く曲がりくねっているので片道2時間はかかる。
■ 宿泊施設:ハナにある日系3世の夫婦が経営する民宿、Aloha Cottage(TEL: 808-248-8420)の他に、1泊300ドルからのHotel Hana Maui(www.hotelhanamaui.com、808-248-8211)もある。ハナにある同ホテルは、ワイキキ以外で建てられた初の高級リゾートホテルで、有名人がお忍びで滞在するという。


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テーマ : アメリカ
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全米の国立公園全58カ所を踏破したカメラマンが、60歳を機にアメリカ探険に再挑戦。観光では行けない、大自然と野生動物たちとの出会い。そして故郷日本へ帰り日本の野生動物、心の風景そして祭りに感動、28年ぶりの「日本再発見」を紹介します。それぞれの作品はデジブックのスライドショーで楽しめます。



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