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親友になった大峡谷

グランドキャニオン国立公園(1979世界遺産)、アリゾナ州
Grand Canyon National Park, Arizona



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ノースリム、インペリアルポイント
からの眺め


大峡谷(グランドキャニオン)との出会いはボクがまだ中学生のときだった。 音楽の時間にグローフェの”大峡谷”を聞いたのが始まりだった。(Ferde Grofe 1892-1972) 一時期ボクはこの音楽に傾注した。 音楽の中から夜明けの空の色を想像し、風の音を聞き、雷に身をすくめ。そしてミュール(ロバと馬の雑種)に乗って谷底まで旅をした。それは全てが想像の世界だったけど、心の中には何枚もの風景写真となって新鮮に焼き込まれていた。 やがてカメラマンとなりアメリカへ来たボクは、あるときラスベガスから日帰りでグランドキャニオンまでドライブした。 そしてそのとき見た風景は長い間心の中にしまっておいた風景よりもっと強烈にボクの心を叩いたのだった。


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夕暮れ時のキャニオン、サウスリムからの眺め


グランドキャニオンはアメリカ合衆国を代表するランドマークの一つだ。世界中から毎年450万人の観光客が訪れる。大型バスが観光客を吐き出すと人々は展望台から写真を撮り、またそそくさとバスに乗って移動して行く。これもグランドキャニオンを楽しむ一つのパターン。ハイヒールでもやって来れる国立公園である。しかし何度かこの峡谷の上に立つうちに、ボクの心の中にはいつしか谷底まで下りてグローフェの音楽で感じたあの"大峡谷"を見たいという考えが大きく膨らんできていた。これまでいろんな国立公園を回ったが(米国58カ所を全踏破)しかしこのグランドキャニオンはそんなボクをいつもせせら笑っているような気がした。自分の足で実際に峡谷の谷底を踏むまでは、この大峡谷を踏破したことにはならないのだ。



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嵐の前のキャニオン、デザートビューからの眺め



グランドキャニオンは谷底を流れるコロラド川を挟んで、ノースリムとサウススリムに分かれている。観光客の9割が交通の便が良いサウスリム訪れる。このサウスリムからは、2カ所のトレイルが谷底まで下りている。ブライトエンジェル・トレイル(Bright Angel Trail)15.7キロとサウス・カイバブ・トレイル(South Kaibab Trail)11.1キロだ。谷底にはキャンプ場とロッジ(Phantom Ranch)があり、このファントムランチでは2段ベッドのドミトリー・キャビンがあり、食事や飲み物のサービスも受けられる。問題は徒歩で行くか、ミュールに乗るかだが、しかしボクの心の中ははじめから決まっていた。自分の足でこの大峡谷に挑戦することだ。



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ミュールで荷物を運ぶカウボーイ



下りは急勾配だが距離の短いカイバブ・トレイル(登山道)を行くことにした。ここのトレイルは水飲み場がないから、全て自分で運ばねばならない。カメラ機材と水ボトルの重さが足場の悪いトレイルで疲労を倍加させた。山登りで一番怪我しやすいのは上りよりも下りである。普段使わない足の筋肉に膝がガクガク笑う。それでもなんとか4時間半でコロラド川の川縁にあるファントムランチに到着することができた。持ってきた水ボトルはとっくに底をつき、ロッジにたどり着くなり貪るように飲んだ、冷えたレモネイドが疲れた身体に生気を取り戻してくれた。そして冷たいコロラド川に足を浸して、下から眺める遥か高くそびえ立つ峡谷に、今度は上りの過酷な旅が思いやられるのだった。


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ミュールが通り過ぎるのを待つハイカー


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谷底のコロラド川にかかる吊り橋



翌日は朝4時半起床。簡単な朝食のあと、日が昇る前にロッジを出発した。こ のブライトエンジェル・トレイルは、カイバブ・トレイルほど急ではないが、 距離がある。そして日が昇ると疲れは倍加して襲ってきた。昨夜2段ベッドに 隣り合わせた家族がボクと前後して歩いていた。小学校低学年くらいの幼い少年と母親が先頭を歩き、少し年長の少女が真ん中、父親は一番重いリュックを背負い、後ろからみんなを見守るように歩いている。この兄妹は家族のチームワークと、水や食物の大切さ、それに自分の体を守る方法を実践で学んでいるのだろう。彼らが成長して大人になった時、どんな人間になるか想像できた。ボクはこの家族のリーダー若い父親が羨ましかった。


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谷底のコロラド川でくつろぐカップル



砂漠の陽は真上に上り容赦なく照りつける。のどの乾きはいくら水を飲んでも止まらない。そして頂上のブライトエンジェル・ロッジまであと4キロのところにある、休憩所まで辿り着くとここで精根尽き果ててしまった。後はもう恥も外聞もない。少し歩いては休み、崩れるようにへたり込む。残り少ない水ボトルをなめるようにしてまた登る。毎年何人もの人が動けなくなってレンジャーの世話になるという屈辱感が目の前にちらついた。頭から足の先まで汗と土埃で汚れ、見るも無惨な姿になった。しかしついに執念で頂上に辿り着いた。下りが4時間半。上りは8時間もかかった。くねくねと続く今登ってきたトレイルを上から眺めて初めていい知れない感慨がおそってきた。人生には時々さけて通れないことがある。人は馬鹿なことと笑うかもしれないが、自分に課した約束を守るための自分との戦いが必要なときがある。ボクはぼろぼろになりながら大峡谷に挑戦した。そして今大峡谷がボクに微笑んでいる。やっと親友になれた気がする。


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今上って来たキャニオンの上をカリフォルニアコンドルが飛ぶ



Grand Canyon National Park P.O. Box129 Grand Canyon, AZ 86023_928-638-7888
 http://www.nps.gov/grca/


行き方:
ゲートシティはFlagstaff(フラッグ・スタッフ)だが、レンターカーだったらフェニックスから約4時間。その他ラスベガスや、ロスアンジェルスからもバスが出ている。

宿泊:
園内の宿泊施設はサウスリムに6軒、ノースリムに1軒、それに谷底のファントムランチの8カ所がある。予約はGrand Canyon NP Lodge (303-297-2757, 888-297-2757か、当日予約: 520-638-2631)
  http://www.grandcanyonlodges.com/

で一括して受け付ける。谷底にあるファントムランチ のロッジはキャンセルが多いので、当日でも泊まれる可能性がある。園内に泊まれないときは公園から1マイルのトウシャン(Tusayan)にモーテルやレストランがある。

*ミュールツアーは人気が高くて予約なしでは当日利用は不可能。予約は上記 番号で2年前から受け付ける。

*もう一つ公園外にあるハバスキャニオンへのツアーも有名なのでファントム ランチの予約が取れないときは試してみるといい。http://www.papillon.com/ (800-528-2418)



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テーマ : アメリカ
ジャンル : 旅行

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カズさん

Author:カズさん



全米の国立公園全58カ所を踏破したカメラマンが、60歳を機にアメリカ探険に再挑戦。観光では行けない、大自然と野生動物たちとの出会い。そして故郷日本へ帰り日本の野生動物、心の風景そして祭りに感動、28年ぶりの「日本再発見」を紹介します。それぞれの作品はデジブックのスライドショーで楽しめます。



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