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自然の宝石箱

アイル・ローヤル国立公園 , ミシガン州
Isle Royal National Park, Michigan

Isle Royal  

ボクはこれまで、国立公園を旅しながらいろんな動物たちに出会ったが、中でも初めて見たイエローストーンの野生のオオカミは今でも強烈に思い出される。人に媚びない毅然とした態度、射すくめるようなクールな瞳。
ミネソタ州からミシガン州とカナダまで広がるスペリア湖の北西にある、アイル・ロイヤル国立公園にはそんな野生のオオカミが住んでいるという。
この話を聞いてから、この島がボクの心の中でだんだん大きく膨らんだ。そして彼らに会いたくて、はるばる遠くの島まで旅することになってしまった。



Isle Royal Isle Royal

五大湖のうち最も大きな面積を持つスペリオル湖には400余の島々が点在する。その中でも一番大きな島がアイル・ローヤルで国立公園に指定されている。湖の北西部に位置する全長45マイルの細長い島で、距離的にはミネソタ州に近いが、実際にはミシガン州に属する。島へ渡るには、ミシガン州北部のカパー・ハーバーか、 ホートン、あるいはミネソタ州のグランド・ポーテージからフェリーで行くしかない。どの港から行くにしても、最寄りの飛行場からは車で3時間のドライブだ。しかし、美しい自然と野生のオオカミに遭遇できるかも知れないという思いは、そんな距離感をなくしてしまった。


Isle Royal  Isle Royal


船長のウインク:
島には、北東にいちするロック・ハーバーにロッジが一軒あるが、オオカミに遭えるチャンスは、そんな人間の気配のするところではまず生まれない。ボクは初めからキャンプをするつもりで、観光客が途切れる9月の末に島に渡った。 木々が黄色く色好く秋晴れの日、ミネソタ州、グランド・ポーテージから出るフェリーはその週が今年最後の運航だった。ボクの大きなバックパックをボートに引き上げながら、ウエノーナ号のキャプテンは いたずらっぽくウインクした。「帰る日を間違えるなよ。その日を逃すと来年まで島にいなくちゃならないぞ!」

フェリーで3時間、島の西側にあるワシントン・ハーバーに倒着するとパークレンジャーが迎えに来ていた。島に上陸したビジターセンターで滞在許可証をもらい、簡単な規則の説明を受けた。湖水のバクテリアを殺すために飲み水は必ず2分以上沸騰させる。ムースなどの野生動物には近づかない、または餌をあげないといったどこでも似たような注意事項だ。キャンプ場は島全体で36か所もあるが、トイレの設備が整っているのはビジターセンターに近いところだけ。この島にはほとんど手付かずの自然があった。

 

Isle Royal  


オオカミとムース
:

迎えにきてくれたレンジャーはこの島に赴任してから2年が経つが、まだ実際にオオカミを見たことがないと言った。そして「彼らは夏の間は森の奥に引っ込んでいるから、観光客が遭遇するチャンスはまずないだろう」と、初めから気分が暗くなるような言葉が続いた。
そもそも、この島にオオカミたちが渡って来たのは1940年代後半。大寒波で凍りついた湖を歩いて渡って来たらしい。1900年代初頭にムース(ヘラジカ)が泳いで島に渡り、食物の豊富な天敵のいない土地で大繁殖しており、オオカミはそれを追いかけて来たのだ。島には一時期、銅の採掘者が住んでいたが、採掘ブームが去ると無人の美しい自然が残された。ムースは2000頭にまで増えた時期もあったが、山火事や大寒波で増減を繰り返し、現在確認されているのは千頭あまり、オオカミの数は最も多い年で50頭、平均して25頭前後がこれまた増減を繰り返しながら生息しているという。1996年には大寒波で多くのムース死んだが、反対にオオカミたちはその肉を食べて生き延びた。これまでオオカミとムースの間では自然界の掟に従った秩序ある健康な関係(数)が保たれて来た。しかし、最近の研究者のリポートによると、人間が訪れることで、これまでになかった病原菌が島に運ばれて来たり、人間が連れて来たペットが島を荒らしたりする事で、オオカミやムースが被害を受けているという。

 

Isle Royal Isle Royal Isle Royal



オオカミの遠吠え?:
レンジャーの勧めで、船着き場から約10マイル(14キロ)離れたフェルドマン・レイクにキャンプを張ることにした。 フェルドマン・レークまでのトレイルは、藪や森の中に続くケモノ道だった。いたる所にムースやキツネの糞が落ちていて、しかも彼らは藪の中から突然顔を見せてはボクを驚かせた。野いちごの赤い実で口の渇きをいやしながら森に一歩入ると、いろんな種類のキノコが群生し、森の精の小人たちが歌でも歌いながら現れるのではないかと思われるほど、不思議な気分にさせられた。島全体が美しい自然の宝石箱のようだった。 湖畔にテントを張ると、誰にも邪魔されない自分だけの世界が始まった。水を汲んで沸かし、いつもと同じように陽の高いうちに夕食の準備に取り掛かかった。持ってきた米を炊いて最初の仕事は完了。あとは寝転んで動物たちが出てくるのを待つばかり。この島で安心なのはクマがいないことだった。それに食べ物を盗むラクーン(アライグマ)の姿もなかった。その代わりキタキツネの夫婦がやって来て、すぐに友達になった。彼らは人間に虐められたことがないらしく、手の届きそうな近くまでやってきて愛嬌を振りまいた。

夜になると満天降るような星空になった。星の明かりだけで湖が遠くまで光って見えた。ザブーン、ザブーンと水コケを食べるムースが立てる水音を聞くうちに、ボクはいつしか寝袋の中で夢の中にいた。明け方、オオカミの遠吠えを聞いたような気がした。しかし、3日間待ったが、彼らはやはり現れなかった。ボクはそれでもなぜか幸せだった。それは彼らと同じ土の上に寝て、同じ風の音を聞いたからかもしれない。つかの間の穏やかな秋の日はすぐに木枯らしに変わり、島は深い雪に覆われる。

 Isle Royal

このオオカミは別の場所でさつえいしたものです。


アイル・ロイヤル国立公園

公園本部: 800 East Lakeshore Dr., Hougton, Michigan 49931 (906-482-0984), www.nps.gov/isto
  • 行き方: 五大湖の一つスペリア湖の北西部に位置するアイル・ロール国立公園はミシガン州側から58マイル、ミネソタ州側からは18マイル離れている。もっとも近い空港はそれぞれHougton、Michigan州か、Duluth、Minnesota州。ボートはミシガン州がホートンかカパー・ハーバー(906-289-4437)、ミネソタ州はグランド・ポーテージ(715-392-2100)からそれぞれ運行しているが、行き先(Rock HarborかWindigo)によって運行スケジュールが違うので事前予約が絶対必要だ。
  • ■ 宿泊施設: 島に一軒だけあるロッジは6月中旬から9月レイバーデーまでオープン(906-337-4993)。ロッジは混んでいて予約が取りにくいのでこの国立公園はキャンプが絶対お勧めである。

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テーマ : アメリカ
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Author:カズさん



全米の国立公園全58カ所を踏破したカメラマンが、60歳を機にアメリカ探険に再挑戦。観光では行けない、大自然と野生動物たちとの出会い。そして故郷日本へ帰り日本の野生動物、心の風景そして祭りに感動、28年ぶりの「日本再発見」を紹介します。それぞれの作品はデジブックのスライドショーで楽しめます。



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